製造業の利益率を左右するのは、原価の管理精度です。 しかし多くの工場では、紙・Excel・感覚に頼った原価管理により、 どの製品が儲かっているのか分からないという課題があります。 本記事では、工数・材料・設備の原価を見える化し、利益率を改善する原価管理DXを解説します。
なぜ原価管理DXが必要なのか?
紙やExcelの原価管理では、次のような問題が起きます。
- 工数が正確に取れない
- 材料の使用量が曖昧
- 設備コストが見えない
- 製品別の利益が分からない
- 改善の打ち手が感覚頼り
原価管理DXの目的は、 「どの製品が儲かり、どこにムダがあるか」を数字で把握することです。
原価管理DXの全体像(3つの原価を見える化)
原価管理DXは、次の3つの原価を見える化することから始まります。
- 工数原価(人の時間)
- 材料原価(材料の使用量)
- 設備原価(設備の稼働・減価償却)
この3つが揃うと、製品別の正確な原価が分かります。
① 工数原価DX:作業時間をリアルタイムで見える化
工数原価は、原価の中で最も大きく、最も管理が難しい領域です。 まずは作業時間(工数)をデジタルで記録します。
■ 工数の取り方(DX版)
- 作業開始 → タップ
- 作業完了 → タップ
- 工程ごとの工数が自動集計
→ 工数のバラツキが見えるようになる
■ 工数原価の計算
工数 × 人件費(時間単価)= 工数原価
工数が見えると、 どの工程が高コストか、どこを改善すべきかが明確になります。
② 材料原価DX:材料の使用量を正確に把握する
材料原価は、製造業の原価の大部分を占めます。 材料の使用量を正確に把握するには、入出庫のデジタル化が必須です。
■ 材料原価DXのポイント
- 材料のバーコード化
- 入庫・出庫をスキャンで記録
- ロット別の使用量を自動集計
→ 材料のムダ・ロスが見えるようになる
■ 材料原価の計算
使用量 × 単価 = 材料原価
材料ロスが多い工程が分かれば、 改善の優先順位が明確になります。
③ 設備原価DX:設備の稼働とコストを見える化
設備原価は、見えにくい“隠れ原価”です。 DXで設備の稼働を見える化すると、設備原価が正確に把握できます。
■ 設備原価DXで取得するデータ
- 稼働時間(動/止)
- 停止理由
- 設備の減価償却費
- 保全コスト
■ 設備原価の計算
(減価償却費+保全費)÷ 稼働時間 = 設備の時間単価
設備の時間単価が分かると、 製品別の設備原価が計算できるようになります。
原価管理DXのステップ(現場で使える簡易版)
【ステップ1】工数をデジタル記録する
- 作業開始・完了をタップ
- 工程別の工数を自動集計
→ 工数のバラツキが見える
【ステップ2】材料の入出庫をスキャン化する
- 材料のバーコード化
- 入出庫をスマホで記録
→ 材料ロスが見える
【ステップ3】設備の稼働データを取得する
- 簡易IoTで動/止を取得
- 停止理由をタブレット入力
→ 設備の稼働率と原価が見える
【ステップ4】製品別の原価を自動計算する
- 工数原価
- 材料原価
- 設備原価
→ どの製品が儲かっているか分かる
【ステップ5】原価データを改善に使う
- 高コスト工程の改善
- 材料ロス削減
- 設備の稼働率向上
→ 利益率が上がる
原価管理DXの成功事例
■ 事例1:工数の見える化で利益率が改善
- 工数のバラツキを発見
- 標準化で工数を20%削減
■ 事例2:材料ロス削減で年間数百万円の改善
- 材料の使用量をデジタル管理
- ロスの多い工程を特定
■ 事例3:設備原価の見える化で稼働率向上
- 停止理由を分析
- 改善で稼働率が10%以上向上
まとめ:原価管理DXは“工数 × 材料 × 設備”の見える化がすべて
原価管理DXは、次の順番で進めると成功します。
- ① 工数原価の見える化
- ② 材料原価の見える化
- ③ 設備原価の見える化
- ④ 製品別原価の自動計算
- ⑤ 原価データを改善に活用
DXで原価を見える化すれば、 利益率・生産性・改善スピードが劇的に向上します。